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2020-01-17 07:00

社会

国際人権団体、「ミャンマーは人権侵害で国際的な裁判に直面」と分析

ヒューマン・ライツ・ウォッチ
責任逃れで国際裁判に発展
米国に基盤を持つ国際的な人権団体であるヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch:HRW)は1月14日、「ワールド・レポート2020」を発表し、ミャンマー政府が2019年にロヒンギャおよびその他の少数民族に対する人権侵害で、国際的な裁判を求める圧力に直面したと分析した。

HRWのアジア副局長のフィル・ロバートソン氏は、
「ミャンマーは国軍によるロヒンギャへの残虐行為に対して責任を負わなかったため、ついに国際裁判が開始された」(プレスリリースより)
と述べている。

現在2つの国際裁判所が、ミャンマーでのジェノサイドとロヒンギャに対する人道的な罪で起訴されるべき人物を調査。

2019年11月には、国際刑事裁判所(ICC)が検察官に対し、2016年10月以降のロヒンギャ迫害や人道的な犯罪、国外追放、その他の非人道的行為を調査する許可を与えている。

さらに、同年12月10~12日にかけて、ミャンマーの事実上のリーダーであるアウンサンスーチー氏が率いる代表団が国際司法裁判所(ICJ)に出頭。軍事的残虐行為の証拠があるにも関わらず、ミャンマーは組織化された迫害を否定している。

抑圧的な法律で国民を制御
ミャンマーでは2017年8月に始まった国軍による民族浄化を逃れ、約100万人のロヒンギャが隣国バングラデシュに逃避。国内に残る約60万人のロヒンギャは、迫害や暴力、極端な移動制限だけでなく、食料と医療が奪われ、厳しい状況下で生活している。

また2019年には、シャン州、カチン州、ラカイン州で国軍と民族武装組織との間で武力紛争が激化。

これらの紛争の影響を受ける4つの郡区では6月にインターネット接続が断たれ、紛争地域にいる民間人は、深刻な援助妨害、無差別の砲撃、および強制移住によってますます危険にさらされている。

また、HRWはミャンマー当局が抑圧的な刑法の使用を拡大したため、表現の自由と集会の尊重も急激に低下したと指摘。2019年には、表現の自由を制限する様々な法律の下、250人以上が刑事訴訟に直面したという。

ロバートソン氏は、
「アウンサンスーチー氏と彼女の政府は、軍事政権下に制定された抑圧的な法律を覆すと約束したが、代わりに彼らは批評家を攻撃するためにそれらの法律を使用しており、新しい抑圧的な法律さえ導入した」(プレスリリースより)
と述べている。

(画像はプレスリリースより)
(C)2019 Allison Joyce/Getty Images


外部リンク

ヒューマン・ライツ・ウォッチ
https://www.hrw.org/

ヒューマン・ライツ・ウォッチのプレスリリース
https://www.hrw.org/news/

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