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2018-08-17 12:00

社会

ロヒンギャ難民は「ミャンマー国民」?それとも「ラカイン州移住者」?

ロヒンギャ難民
IDカードを「ミャンマー国民」から「ラカイン州移住者」へ変更
米国に基盤を持つ国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch:HRW)は8月15日、「ミャンマーはバングラデシュに逃避しているロヒンギャ難民の権利を認識する必要がある」との考えを示した。

HRWによると、ロヒンギャ帰還のためのミャンマーとの交渉で、バングラデシュはIDカードの文言を「ミャンマー国民」から「ラカイン州移住者」に変更することに合意したという。

難民IDカードの文言を少し変更することは重要ではないかもしれないが、民族浄化を逃れてバングラデシュへ逃避したロヒンギャ難民にとっては最も重要なことである。

HRWはこの変更を、ミャンマーにはロヒンギャの市民権を尊重する意図がなく、ロヒンギャが逃避した原因となる殺人、レイプ、大量虐待、窃盗などの治安部隊の行為を容認することを意味していると分析。

また、帰還計画が進む中、ミャンマーはバングラデシュに対して、ロヒンギャ難民への積極的な支援の停止を求めている。

「バングラデシュは私の国ではない」
大半のロヒンギャは公式にミャンマー国民と認められていない。しかし、彼らは数十年にわたりミャンマーで暮らしている民族の1つだ。

危険で惨めな生活を難民キャンプで強いられているにもかかわらず、ロヒンギャの多くは
「バングラデシュは私の国ではない」(プレスリリースより)
といい、彼らの故郷であるミャンマーへ帰還することを望んでいるという。

しかし、帰還を望む難民も無条件で帰るつもりはなく、
「ミャンマーが市民権を与え、ロヒンギャのアイデンティティを認めれば、我々は戻る。また、土地と財産の返還も望んでいる。安全と正義を求め、他の宗教民族と同等に扱われることを望む」(プレスリリースより)
と語っている。

これらは不合理な条件ではないが、簡単には満たされないだろう。

HRWは、バングラデシュや難民問題に関心がある政府が、ミャンマーに対して市民権の付与を優先するよう迫るべきだとの見解を示した。

ロヒンギャ難民は「ミャンマー国民」なのか、あるいは「ラカイン州移住者」なのか、それぞれの思惑が渦巻いている。

(画像はプレスリリースより)
(C)2018 Andrew RC Marshall/Reuters


外部リンク

ヒューマン・ライツ・ウォッチ
https://www.hrw.org/

ヒューマン・ライツ・ウォッチのプレスリリース
https://www.hrw.org/news/

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