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2019-02-03 18:00

社会

国際人権団体、ミャンマーの「平和的な表現の自由」刑罰化を指摘

ヒューマン・ライツ・ウォッチ
“平和的な言論を処罰する法律”改正の要請
米国を基盤とする国際的な人権NGOであるヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch:HRW)は2月1日、ミャンマーで民主的に選ばれた文民政府が“政府を平和的に批判”する者を訴追し、基本的人権を侵害しているとの報告書を発表した。

また、関係各国の政府に対しても、表現・集会の自由を保障し、現行の“平和的な言論を処罰する法律”を国際基準に改正するようミャンマー政府に要請するべきとの見解を明らかにした。

報告書「へし折られた希望:ミャンマーにおける平和的な表現の自由の刑罰化(Dashed Hopes: The Criminalization of Peaceful Expression in Myanmar)」は87ページにわたり、アウンサンスーチー国家顧問が率いる与党・国民民主連盟(NLD)が国民に対して、曖昧な文言で表現された国内法を適用している実態を調査・検証したものだという。

HRWのアジア担当法律顧問であり同報告書の執筆者でもあるリンダ・レーカール(Linda Lakhdhir)氏は、
「アウンサンスーチー氏とNLDが新しいミャンマーを約束したのに、政府は依然として平和的な発言や抗議をする人々を訴追し、古く弾圧的な法律を改正せずにいる」(プレスリリースより)
と述べている。

法律を拡大解釈
HRWによると、ミャンマー政府は電気通信法第66条(d)を拡大解釈し、政府あるいは国軍を批判や侮辱、あるいは不当な表現をした人を訴追するために繰り返し同条項を適用しているという。

昨年12月には、チン州で勃発した戦闘により避難を強いられた人々の保護を求めた活動家が、「国軍を中傷した」として有罪判決を受けている。

また、同年4月には風刺的な反戦劇で「国軍を中傷した」として高校生8人が有罪判決を受け、劇を配信した男性も同条項の下、有罪判決となった。

さらに、世界的に注目を集めたロイター通信の記者2人が実刑判決を受けた事件でも知られる通り、ジャーナリストも電気通信法、非合法結社法、国家機密法、メディア法、航空法の下で逮捕されている。

加えて、平和的な集会やデモに参加した人々も訴追に直面しているという。

これら多くの訴追や逮捕が同国における報道に萎縮効果をもたらしているとHRWは指摘。

しかし、レーカール氏は、
「政府が誤った道を後戻りし、ミャンマーにおける言論と集会の自由を全面的に保障する道を歩む機会はまだ残されている」(プレスリリースより)
とミャンマー政府に期待を寄せている。

(画像はプレスリリースより)


外部リンク

ヒューマン・ライツ・ウォッチ
https://www.hrw.org/ja

ヒューマン・ライツ・ウォッチのプレスリリース
https://www.hrw.org/ja/news/

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