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2022-01-15 08:00

政治

軍事クーデターでミャンマーの民主的統治が壊滅:国際人権団体

ヒューマン・ライツ・ウォッチ
遮断すべき軍事政権の収入源
米国に基盤を持つ国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch:HRW)は1月13日、ミャンマーでの軍事クーデターが民主的統治を転覆させ、国を着実に悪化させる権利濫用の状態に追い込んだと、世界報告書2022(World Report 2022)で述べた。

また、ミャンマー国軍最高司令官であり同国の暫定首相であるミン・アウン・フライン上級大将が率いる治安部隊は、人道に対する罪に相当する広範囲にわたる深刻な虐待を行ったと指摘している。

HRWのアジアディレクターであるブラッド・アダムズ氏は、
「ミャンマーで長く虐待的な行為を続ける軍隊は民主的に選出された政府を解体し、反クーデター抗議者に対して人道に対する罪を犯し、少数民族地域で残虐行為を再開した」(プレスリリースより)
と述べた上で、
「懸念される政府に対して、人権危機に的を絞った制裁と国際的な武器禁輸で対応し、軍事政権の収入源を遮断する必要がある」(プレスリリースより)
とつけ加えた。

なお、カナダ、欧州連合、英国、米国は、ミャンマーの軍関係者および軍が管理する企業に制裁を課している。しかし、軍事政権の最大の外貨源である石油と天然ガスの収入に制裁やその他の経済的ブロックを課している政府はない。

戦闘で大きな影響を受ける脆弱な人々に
ミャンマーでは国会議員、少数民族の代表者、市民社会活動家が挙国一致内閣を結成して政権を争う一方で、何百万人もの人々が国中の街頭で大部分が平和的な抗議行動を起こし、軍に権力を放棄するよう呼びかけている。

しかし治安部隊は、殺人、拷問、自由の剥奪、強制失踪、レイプやその他の性的虐待など、人道に対する罪に相当する犯罪で対応した。

反軍事政権の人民防衛軍(PDF)の民兵が全国で結成され、治安部隊との戦闘が激化。公共エリアや建物に違法な爆撃を行ったり、民間人への攻撃や都市近郊と農村を破壊したりしたため、3万人が避難を強いられている。

このように戦闘が激化する地域への人道支援のアクセスが妨げられ、食糧不足は全国で報告され、国連によると飢餓に直面している人々の数は620万人になる可能性があるという。

(画像はプレスリリースより)
(C)2021 Kaung Zaw Hein / SOPA Images/Sipa USA via AP Images


外部リンク

ヒューマン・ライツ・ウォッチ
https://www.hrw.org/

ヒューマン・ライツ・ウォッチのプレスリリース
https://www.hrw.org/news/

世界報告書2022(World Report 2022)
https://www.hrw.org/

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