2021-08-03 15:00
政治
ミャンマー国軍トップが暫定首相に 2023年8月までに総選挙を実施

国家行政評議会は「暫定政府」として再編成
軍事クーデターで国軍が権力を掌握してから半年となる8月1日、ミャンマーの事実上の最高機関である国家行政評議会(State Administrative Council:SAC)で議長を務める国軍最高司令官のミン・アウン・ライン上級大将が暫定首相に就任したと国営メディアが報じた。同メディアによると、国の任務を迅速、簡単、効果的に遂行するために、SACはミャンマーの「暫定政府」として再編成され、その任期は2023年8月までだという。
ミン・アウン・ライン上級大将は同メディアで演説を行い、
「我々は2023年8月までに非常事態宣言下の規定を達成するだろう」(abcより)
と述べ、2023年までに総選挙を実施して民主主義を回復するという誓約を繰り返した。国軍はクーデター直後に“1年以内に総選挙を行う”と国民に伝えていたが、半年のうちに選挙までの期間が倍以上伸びている。
国際的な認知を望む暫定政権
今年4月に行われたASEAN首脳会議にはミン・アウン・ライン上級大将が出席し、暴力の停止や仲介役としてのASEAN特使の派遣など「5つの合意」に至ったが、いまだに何も実施されていない。しかし、ミン・アウン・ライン上級大将は、
「ASEANによって指名された特使と協力する準備ができている」(Radio Free Asiaより)
と演説で述べ、協力姿勢を示した。一方、人権活動家のAung Myo Min氏は、「暫定政権」を再編成したのは国際的な認知を得るためだと指摘。ASEANとの協力もその一環なのかもしれない。
懐疑的なミャンマー国内
暫定政権に関するニュースに対するミャンマー国民の反応はまちまちだが、多くはミン・アウン・ライン上級大将の発言に懐疑的である。選挙監視グループであるHornbill Organizationの事務局長は、
「今後2年間のうちに選挙が実施されるとは信じがたい」(VOAより)
との見解を示し、「選挙日が発表されて初めて信じられる」(VOAより)
と付け加えた。また、アウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟の副議長も、同上級大将の発言を信用していないという。その理由は、以前の軍事政権下で行われた選挙は、自由で公正なものではなく、信頼できなかったからだ。
はたしてクーデターに“NO”を訴える国民は、どのような反応を示すのだろうか。
(画像はRadio Free Asiaより)
外部リンク
Myanmar Junta Chief Takes on ‘Caretaker’ Government PM Role, Raising Constitutional Questions
https://www.rfa.org/
Myanmar Junta Forms Caretaker Government; Min Aung Hlaing is Prime Minister
https://www.voanews.com/
Myanmar army ruler Min Aung Hlaing takes prime minister role, pledges elections
https://www.abc.net.au/
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