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2025-11-03 08:30

学術

恐竜時代の蚊=“生きた化石”? 9900万年前の幼虫化石が語る驚きの類似性

化石
ミャンマー産アンバーに閉じ込められた蚊の幼虫
ミャンマー・カチン州の琥珀(アンバー)から、約9900万年前の蚊の幼虫化石が発見された。

学名を『Cretosabethes primaevus』と命名されたこの幼虫は、これまでに見つかっていた成虫化石とは異なり、「幼虫」の段階で保存されていたことが画期的である。また、その形態は現代の熱帯性蚊の幼虫に非常に近く、ほとんど変化していないことが研究者により指摘された。

この発見は蚊の進化に関する従来の仮説に対し、新たな知見を提供している。従来の化石記録は成虫段階のものが中心で、幼虫段階での保存例は極めて珍しい。

幼虫という生活史の段階に焦点を当てることで、「幼虫がほぼ変わっていない」という実体が明らかになった点が、進化学的にも大きな意義を持つ。

進化の“速度”に疑問 幼虫形態が示す安定性
今回の化石では呼吸管や尾毛、口器の構造が現代種とほぼ一致しており、
「驚くべきことに、このおよそ1億年前に生きていた蚊の幼虫は、現生の蚊の幼虫と驚くほどよく似ている」(earth.com)
と研究者は述べている。

この安定性は、幼虫が水生環境の中で生き延びるための体の設計が強く固定化された結果と考えられており、進化が必ずしも多量の変化を伴うわけではないことを示唆。

また、幼虫の生息環境は樹木の空洞や葉のつけ根に溜まった小さな水たまりと推定されており、このような限定された生態環境が長期間にわたる形態の保全を促した可能性がある。

今回の発見は、蚊という「人類にとって厄介な存在」の起源を理解するうえでも重要であり、気候変動や生態系の変化の中で幼虫が占める役割を再評価する契機ともなる。

(画像はearth.com ホームページより)


外部リンク

Fossil of 99 million year old mosquito larva found in Myanmar amber
https://www.jpost.com/

Rare fossil find reveals early evolution of mosquitoes
https://phys.org/

Mosquito larva from the days of dinosaurs is surprisingly modern
https://www.earth.com/

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