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2025-07-12 17:15

社会

日本の官民ファンド3社、ミャンマー軍系企業とのメディア事業から撤退 透明性と人権配慮に課題

日本の官民ファンド
NHK子会社など3社がDream Visionから撤退
日本の官民ファンド3社、すなわちNHK子会社のJapan International Broadcasting(JIB)、クールジャパン機構(Cool Japan Fund)、および海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)は、ミャンマーのメディア企業Dream Vision Co., Ltd.からの撤退を完了した。

Dream Visionは軍系企業Shwe Than Lwin Media(STLM)と共同で設立され、地上波テレビ局MNTVの放送設備支援などを通じて、日本のメディアコンテンツの普及と広告市場の開拓を目的としていたという。

しかし、STLMはミャンマー軍との密接な関係を持つ企業であり、国連の調査でも軍のプロパガンダ拡散に関与していると指摘されている。そのため、Dream Visionを通じた支援が、軍の情報戦略を助長する可能性が懸念されていた。

撤退の透明性と人権配慮に対する市民社会の懸念
2025年6月、7つの市民社会団体が3社に対し、撤退の透明性と人権配慮を求める書簡を送付。

これに対し、JIBは2024年12月に撤退を完了したと回答し、クールジャパン機構とJICTは2025年6月24日に手続きを完了したと報告したという。

しかし、これらの回答には2021年のクーデター以降に人権デューデリジェンスが実施されたかどうか、またDream Visionが軍のプロパガンダに関与していた可能性についての言及がなかった。

特に、クールジャパン機構とJICTの資金の大部分は日本政府の財政投融資特別会計から拠出されており、国民の税金が原資だ。また、JIBの親会社であるNHKは受信料で運営されているため、これらの機関には高い説明責任が求められる。

市民社会団体は、撤退が軍系企業に利益をもたらす結果となった可能性を指摘。さらなる情報開示と責任ある対応を求めている。

この事例は企業や政府系機関が海外での事業展開において、透明性と人権への配慮をどのように確保すべきかを問い直す契機となるだろう。今後、国際社会や市民社会からの監視が一層強まることが予想される。

(画像はジャスティス・フォー・ミャンマーより)


外部リンク

ジャスティス・フォー・ミャンマー
https://www.justiceformyanmar.org/

ジャスティス・フォー・ミャンマーのプレスリリース
https://www.justiceformyanmar.org/

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