2023-10-01 16:00
政治
悪化の一途をたどるミャンマーの人権状況:国連報告

過去16か月で687回の空爆
国連人権高等弁務官のフォルカー・テュルク氏は新たな報告書を発表し、クーデターで軍が権力を握るミャンマーで軍による攻撃が拡大し、人権状況が悪化したことを明らかにした。報告書の対象は2022年4月1日から2023年7月31日までの期間で、軍は687回の空爆を実施したが、これはクーデター後の14か月間に実施された回数の2倍以上だという。
民間人に向けられてきた特定の軍事戦術は空爆、大量虐殺、村の焼き討ちの3つだ。
地上作戦による10人以上の大量殺害事件が22件記録され、これらの作戦の多くでは兵士が村に入って人々を一斉検挙して処刑している。
さらに、民間人に対して強姦、斬首、殴打などをするにとどまらず、生きたまま焼いたりバラバラにしたり、襲撃や地雷から軍が身を守るために拉致した村人を利用したりするなど、恐ろしい方法で被害者に想像を絶する苦痛を与えた。
村全体と民間インフラの焼き討ちは、特にザガインの中部地域で多発し、民間人を恐怖に陥れている。
意図的に国の統治と正義の基盤を侵食する軍
報告書では、軍が意図的に国の統治と正義の基盤を侵食し、文民による法の支配は消滅したと指摘。信頼できる情報筋の報告によると、2万4,836人が逮捕され、1万9,264人が今も拘留されており、独立性や適正手続きや公正な裁判の権利の遵守を欠いた軍管轄の裁判所によって150人が死刑判決を受けたという。
また、7,368人以上が特別裁判で有罪判決を受け、その裁判はほとんどが数分で終わり、弁護人もついていなかった。これまでのところ、被告人が無罪となり、その決定により被告人に有利な判決を下した裁判官が解任された例は1件だけ知られている。
加えてクーデター以来、国全体で人道的アクセスが拒否され、特に主食である米は、多くの地域で極端に制限されつつあるという。
なお、国連人権高等弁務官は軍事政権が現在の負のサイクルを断ち切ると信じる理由がないため、国際社会に早急に行動するよう強く求めている。
(画像は国際連合人権高等弁務官事務所より)
外部リンク
国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)
https://www.ohchr.org/en/
国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)のプレスリリース
https://www.ohchr.org/en/statements
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