2022-11-26 15:30
社会
ミャンマー軍事政権が地雷の使用を拡大

対人地雷の使用はロシアとミャンマーの2カ国だけ
アメリカに基盤を置く国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)は、11月17日に発表された『地雷モニター報告2022(Landmine Monitor Report 2022)』で2021年2月のクーデター以降、ミャンマー軍事政権による地雷の使用が急増していることを明らかにした。報告書はミャンマー軍事政権が製造し、全国に設置した数百個の地雷の写真を分析したものである。
ミャンマー軍は1999年から地雷を使用してきたが、国際地雷禁止条約が採択されてから25年経った2022年、対人地雷を積極的に使用している国はロシアとミャンマーの2カ国だけだ。
1997年の地雷禁止条約では対人地雷を禁止しており、対人地雷の除去、備蓄の廃棄、被害者の支援を義務づけている。ミャンマーは条約の締約国ではないが、軍事政権の使用は依然として違法だ。
なおこの報告書は、市民社会の立場から地雷やクラスター爆弾などの戦争残存物による影響を監視する「地雷クラスター爆弾モニター(Landmine and Cluster Munition Monitor)」が発表したものである。
犠牲者の約3分の1は子ども
軍事クーデターがおきた2021年2月から2022年9月までの間、ミャンマーでは地雷と爆発性戦争残存物によって157人の民間人が死亡し、395人が負傷。犠牲者の約3分の1は子どもだ。ミャンマー軍は、家、村の小道、教会の敷地、農場に地雷を設置。軍事部隊は民間人に「人間の盾」として行動することを強制し続け、軍隊の前を歩かせて地雷の有無を確認している。なぜなら、ミャンマー軍と戦う民族武装グループのアラカン軍も数十の地雷を設置したからだ。
クーデター以降ミャンマー軍事政権は人命救助を阻止し、医療従事者に地雷による負傷の治療を拒否するよう命じた。ミャンマー全土で家を追われた140万人の難民にとって、地雷の危険性が故郷への帰還を妨げている可能性もある。
(画像はプレスリリースより)
(C)2021 Thierry Falise/Getty Images
外部リンク
ヒューマン・ライツ・ウォッチのプレスリリース
https://www.hrw.org/
地雷モニター報告2022
http://www.the-monitor.org/reports/
地雷クラスター爆弾モニター
http://www.the-monitor.org/
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