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2019-08-30 17:00

社会

バングラデシュへの逃避から2年、ロヒンギャはなぜ帰還できないのか

ヒューマン・ライツ・ウォッチ
帰還のための条件が不十分
国際人権団体であるヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)は8月28日、イスラム系少数民族ロヒンギャがバングラデシュへ逃避するきっかけとなった国軍の掃討作戦から2年が経過したにもかかわらず、ミャンマー・ラカイン州へ帰還できていないことに言及した上で、8月に帰還が失敗したのは『帰還のための条件がいかに不十分だったかを明確にした』との見解を示した。

国連の事実調査団は大量虐殺を含む重大な犯罪について、ミャンマー国軍高官の調査と訴追を正当化するのに十分な情報を発見。しかし、ミャンマー政府は人権侵害が発生したことを否定している。

HRWは、これらの犯罪を訴追したり国際的な取り組みに協力したりすることを拒否することで、ミャンマーが国連人権理事会を無視し続けていると主張。

ミャンマー政府はロヒンギャを不法移民とし、彼らのほとんどがミャンマーに何世代も住んでいたにもかかわらず、国民としてみなされていない。

誰一人として帰還を望まず
バングラデシュは2018年11月に帰還するように一部の避難民を説得したが、すべて拒否されている。その後、バングラデシュとミャンマーは、本国送還が8月22日に開始されることを発表。

ミャンマーは帰還する資格がある3,450人から送還が始まるとしたが、誰一人として帰還しなかった。

バングラデシュは避難民の帰還を望んでいるが、強制はできないという立場を守っており、
「ミャンマーは安全で自発的な帰還を可能にする条件をまだ作らなければならない」(プレスリリースより)
と主張している。

根本原因への対処が必要
インタビューを受けた避難民は、
「家に帰りたいが、現在の状況下で帰還することを恐れている」(プレスリリースより)
と述べた上で、
「市民権がなければ、ロヒンギャはさらなる抑圧と差別に直面する」(プレスリリースより)
とつけ加えた。

オーストラリア戦略政策研究所による先月の調査では、空いているロヒンギャの村が破壊され、破壊された集落に要塞化された軍事基地が拡大している証拠が見つかっている。

さらに、ラカイン州の北部と中央部は現在、武力紛争により混乱しているため、安全上の懸念が残るのも事実だ。

迫害から2年が経った8月25日、数万人のロヒンギャ難民が集結。主催者の一人は、
「我々は自分たちの権利を取り戻したい。市民権を求め家と土地を取り戻したいと世界に伝えたい」(プレスリリースより)
と主張している。

ミャンマーはこれらの要求だけでなく、体系的な迫害と暴力、無国籍、重大な人権侵害に対する軍事的免責など、危機の根本原因に対処する必要があるだろう。

(画像はプレスリリースより)
(C)2019 AP Photo/Mahmud Hossain Opu


外部リンク

ヒューマン・ライツ・ウォッチ
https://www.hrw.org/

ヒューマン・ライツ・ウォッチのプレスリリース
https://www.hrw.org/news/

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