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2019-05-09 10:00

社会

国際人権団体、ミャンマー国軍による民間人殺害で独立調査を要請

ヒューマン・ライツ・ウォッチ
事件の真相にたどり着けるのは独立調査のみ
米国ニューヨークに基盤を置く国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch:HRW)は5月6日、ミャンマー・ラカイン州で国軍により拘留された民間人の殺害に関して、同国当局に対して独立した調査を要請した。

ラカイン州では国軍と民族武装集団であるアラカン軍(Arakan Army)が戦闘を続けているが、国軍は5月2日に同州内の村でアラカン軍との関係が疑われる村人数百人を拘留。そのうちの少なくとも6人が射殺された。

国軍は同月5日、事件を調査する将校チームを結成したと発表。しかし、HRWは国軍が兵士による虐待等の申し立てに信頼性のある調査を行うことがなく、歴史的にも兵士が責任を追うことがめったにないことを指摘している。

HRWのアジアディレクターであるブラッド・アダムス(Brad Adams)氏は、
「ミャンマー国軍はラカイン州で拘留した6人の村人を殺害したことを認めているが、独立した調査でなければ事件の真相にたどり着くことはできないだろう」(プレスリリースより)
と述べている。

矛盾する主張
報道によると、国軍は4月30日の朝、アラカン軍への関与の疑いで15歳から50歳までの村人約275人を一斉検挙し、2日間の尋問のため地元の校舎に拘留。村人たちは食料や水を与えられなかったという。

拘留された村人への銃撃は2日午前2時頃行われ、銃撃の原因については矛盾した説明があった。

国軍は一部の拘留者が兵士の武器を奪おうとしたため口頭で警告したが失敗し、その後、発砲したと主張。一方、負傷した村人は、
「拘留者の1人が叫び始め、逃げ出した後、兵士たちが集団で発砲した」(プレスリリースより)
と報告している。

アラカン国民党(Arakan National Party)のTun Aung Kyaw書記長は、
「村人が銃を奪おうとしたという主張は、厳重に警備された上で拘留されていたため不可能だ」(プレスリリースより)
と述べ、ミャンマー人権委員会に対して、民間人に対する攻撃と保護を求めた。

戦闘が続く同地域は、安全上の理由から立ち入りが制限されており、真相をつかむのが非常に困難となっている。

(画像はプレスリリースより)
(C)2019 AP Photo


外部リンク

ヒューマン・ライツ・ウォッチ
https://www.hrw.org/

ヒューマン・ライツ・ウォッチのプレスリリース
https://www.hrw.org/news/

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