2020-08-27 18:00
社会
ロヒンギャ危機から3年 ミャンマーへの帰還は進まず

変わらないロヒンギャの過酷な環境
米国に基盤を持つ国際人権団のヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch:HRW)はイスラム系少数民族のロヒンギャがミャンマー・ラカイン州で国軍による迫害を受けて3年を迎える8月24日、未だに隣国バングラデシュへ逃避したロヒンギャがミャンマーへ安全に帰還できず、ミャンマー国内にいる難民も含めて彼らの置かれている環境が改善されていないことを訴えた。ミャンマーでは2017年8月25日、同国国軍がロヒンギャに対して大量殺戮、レイプ、放火を含む残忍な民族浄化キャンペーンを開始。74万人以上のロヒンギャが隣国バングラデシュへの逃避を余儀なくされた。
HRWによると、バングラデシュへ逃避したロヒンギャ難民が、情報、移動、教育、健康などあらゆる権利に対する厳格な制限に直面し、バングラデシュの治安部隊により不法に殺害された者もいるという。
一方、国連が支援するミャンマー国際独立事実調査団は2019年9月、ミャンマーに残る60万人のロヒンギャが「これまで以上に大量虐殺の脅威に直面する可能性がある」ことを発見している。
ラカイン州に残るロヒンギャは、難民キャンプや村を自由に移動できず、十分な食糧、医療、教育、および生活へのアクセスを遮断されているという。
ロヒンギャ虐待の根本原因への対処に失敗
国際刑事裁判所は2019年11月、ミャンマーによるロヒンギャの帰還および人道に対する関連犯罪の調査を開始。また、国際司法裁判所は2020年1月、ミャンマー政府に対してラカイン州のロヒンギャを虐殺から保護するために措置を講ずるよう命じた。HRWは、ミャンマーがこれらの国際的な措置を遵守しないばかりか、国連がミャンマー国内で起きた重大な犯罪を調査することを許可しておらず、残虐行為に対する独自の犯罪捜査も行っていないと主張。
ロヒンギャに対する虐待の根本原因に対処することに失敗し、彼らの安全で尊厳のある自発的帰還のために必要な条件を作成することを拒否していると指摘した。
多くのロヒンギャが長く暮らしたラカイン州への帰還を望んでいるが、市民権が与えられ、安全が確認できなければ戻れないと口にしている。
ロヒンギャが自発的に帰還できる環境はいつ整うのだろうか。
(画像はヒューマン・ライツ・ウォッチより)
外部リンク
ヒューマン・ライツ・ウォッチ
https://www.hrw.org/
ヒューマン・ライツ・ウォッチのプレスリリース
https://www.hrw.org/news/
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