2018-07-11 12:00
社会
ロイター記者、ミャンマー植民地時代の「国家機密法」の下で起訴

“根拠のない”裁判手続きに“非常に失望”
ミャンマー最大都市ヤンゴンにあるインセイン郡区裁判所のYe Lwin判事は7月9日、昨年12月12日に「国家機密法」違反の罪で拘束されたロイター通信のミャンマー人記者2人の予備審問を公判に切り替えることを決定。これにより、記者2人は起訴されることになる。機密文書を保持していたとして拘束されたのは、Wa Lone氏(31)とKyaw Soe Oo(28)の2人。
彼らが違反したとされる「国家機密法」は、ミャンマーが植民地であったときに制定された法律で、有罪判決を受けた場合、最高14年の懲役刑になるという。
Wa Lone氏は同日、裁判所の外で、
「我々はラカイン州の人権侵害に関する報道をメディアのガイドラインに沿ってい行っているため無罪だ」(Frontier MYANMARより)
と述べている。また、ロイターの社長兼編集長のステファン・J・アドラー(Stephen J. Adler)氏は声明で、“根拠のない”裁判手続きに“非常に失望している”と述べた上で、
「ロイターの記者たちは、独立した公平な方法で仕事をしていた。彼らが何か悪いことや法律を犯したことを示唆する事実や証拠はない」(FORTUNEより)
とつけ加えた。事件の経緯
ロイター記者2人はイスラム系少数民族ロヒンギャの男性10人が治安部隊により殺害された事件を調査していた昨年12月、これまで会ったことがない警察官に招かれ、待ち合わせのレストランへ向かった。その際、警察官から文書を渡され、その直後に国家機密法に反する文書を保持しているとして拘束されている。
記者2人が拘束されたあと、軍は兵士がロヒンギャ男性の殺害に関与したことを認めたが、記者が釈放されることはなかった。
また、5月には予備審問に出廷した警察官が、「逮捕は罠だった」と証言。拘束のきっかけとなった機密文書は警察官が記者に渡したことを明らかにした。
しかし、証言をした警察官は懲役刑に処された上、家族は警察の住宅から追い出されたという。
逮捕が「罠」だったことが明らかになっても予備審問は続き、最終的には起訴されることになった。
記者が拘束された当初から、米国、カナダ、スウェーデンを含む外交官が予備審問に出席するなど、国際社会からの注目も高く、今回の裁判所の決定に批判の声が上がることが予想される。
(画像はCNNより)
外部リンク
Reuters journalists charged under Myanmar Official Secrets Act
https://edition.cnn.com/
Reuters reporters charged under colonial-era Official Secrets Act
https://frontiermyanmar.net/
Reuters Journalists Charged with Obtaining State Secrets by Myanmar Court
http://fortune.com/
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