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2018-06-17 22:00

社会

国際人権団体、「キリンHDが寄付でミャンマー国軍に加担」と批判

キリンHD
総額3万米ドル相当の寄付を認める
国際人権団体であるアムネスティ・インターナショナル(以下「アムネスティ」)は6月14日、ビール大手のキリンホールディングス株式会社(以下「キリンHD」)がミャンマー国軍系企業UMEHLとの合弁事業で取得した子会社ミャンマー・ブルワリー(以下「MB」)が、イスラム系少数民族ロヒンギャへの迫害を実行していた国軍に対し、3回にわたる寄付をしていたと批判する声明を発表した。

アムネスティによると、キリンHDに対して文書で回答を求め、子会社のMBが2017年9月1日から10月3日にかけて、ミャンマー当局に3回、総額3万米ドル相当の寄付をしたことを認めたという。

これはラカイン州で武装集団アラカン・ロヒンギャ救世軍が警察署襲撃事件を引き起こした直後で、国軍によるロヒンギャへの殺人、強かん、拷問、焼き討ちなどが伝えられていた時期だ。

アムネスティは日本当局に対し、人権侵害に加担したキリンHDの寄付について調査すべきであり、当局は日系企業に対し、ミャンマーで投資を行う際には事前にデューディリジェンスを実施することを義務付けるべきだと主張している。

キリンHDの主張
アムネスティは、キリンHDが「献金は暴力の被害者を支援するため」と回答したことも明らかにしいるが、1回目の寄付は9月1日で、ミャンマー・ブルワリー社員から国軍の総司令官へ直接手渡されたという。

これは総司令官が自身のFacebookに動画を投稿しており、テレビでも放映されている。

キリンHDの説明によると、1回目の寄付金は6,000米ドルで、総司令官が
「寄付の一部は、ラカイン州北部で展開する治安部隊員や州職員に渡るだろう」(プレスリリースより)
と述べたという。

キリンHDは4月、ラカイン州政府への3回の寄付について2件は金銭、1件は物品であることを明らかにした上で、
「暴力の被害者に対する人道援助の要請に応じて行ったものだ」(プレスリリースより)
と文書で説明。

また、
「ミャンマー・ブルワリーは、ラカイン州でも他の州でも、軍の作戦を支援する目的で寄付したことは、直接かUMEHL経由かを問わず、一度もない」(プレスリリースより)
とアムネスティに語った上で、
「UMEHLとの提携条件にミャンマー・ブルワリーが、軍事目的のために資金を拠出することを明確に禁じる条項がある」(プレスリリースより)
とつけ加えている。

しかし、UMEHLがその条項を遵守しているか否かを確認する記録文書は提示されず、
「寄付の経路を詳しくは検証しなかった」(プレスリリースより)
と認めたという。

(画像はアムネスティ・インターナショナルより)


外部リンク

アムネスティ・インターナショナル
https://www.amnesty.org/en/

アムネスティ・インターナショナルのプレスリリース
https://www.amnesty.org/en/news/

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