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2018-11-21 07:00

特集記事

第2回『ウルトラ管理システムで業務効率化!ミャンマー人も率先して参加するマネジメントの仕組みとは』

ミャンマー
今回取材させていただいたのは、株式会社チャムズ・ソリューションズの代表取締 鳥養純一(とりかい じゅんいち)氏。鳥養さんはミャンマーで、低コストで質の高いBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を実現されている。そこに至るまでの経験やミャンマー人スタッフのマネジメントについてお話を伺った。



事業を始めた頃の苦労


まず鳥養さんがミャンマーで事業を始めるに至った経緯を教えてください。

2012年の夏ごろに、私の知り合いがヤンゴンに移住しました。その方はお年を召されていたのですが、その年齢でもヤンゴンに行きたい魅力があるのだと感じ、私も行ってみたのがきっかけです。私はそのころはベトナムでオフショア開発をしていました。
海外に行く際、私は基本的に所持金を持たずにATMを使っていたのですが、当時のヤンゴンにATMは6台くらい。どこにあるか場所も分からず、お金も引き出せないからタクシーも使えない。暑い中、必死で歩き回ってATMを探しました(笑)。その時に、ミャンマーは想像以上に何もないなと思いました。一方で、日本のモノを何か持って行けば流行るのではないかとも思いました。
現地では結局その知り合いの方には会えなかったのですが、その代わりにアテンドの方々を紹介してくださいました。その中にミャンマーコンピューター協会の方がいて、話していくうちに一緒にビジネスを始めることになりました。

ミャンマー


どのような事業を始めたのでしょうか。

最初はオフショア開発を始めたのですが、当時の通信環境は今よりも相当ひどく、たとえばプリンタードライバーをダウンロードするのに丸1日かかるほどでした。なので当時オフショアを始めるのは大変なことでした。
また、優秀な人材を集めることにも苦労しました。コンピュータ大学出身の人材でもパソコンを持っていたのは10人に1人くらいでした。携帯のアプリにも触れたことがなく、募集の際に「できる」と言われて雇ってみても結局できなかったのです。
その後少ないスタッフで数年続けたものの、オフィス費用が負担になってきました。MICTパークというIT産業の集積地のような場所にオフィスを構えていましたので、オフィスの費用が高かったのです。
その間、ミャンマー進出コンサルタントなどにも事業の裾野を広げたのですが、やはり本業ではなかったため、これだけでは食べていけない。本当にそのころはどん底でした。その時に事業を転換することを決めました。

現在の事業と管理体制の工夫


次は何を始めたのでしょうか。

目につけたのがBPO事業です。作業内容としては、商品写真やカタログ写真の切り抜き作業、名刺やはがき住所などのデータ入力作業などです。

どのようなオペレーション体制をとられているのですか。

基本的には自社製の管理システムによるマネジメント体制を徹底しています。管理システム内では、作業の進捗状況、作業の開始時刻、各スタッフの作業スピード、稼働人数、優秀なスタッフは誰かなどを一目で把握できるようにしています。
この管理システムはスタッフも確認することができるので、給与や昇進への不満も解消することができます。作業時の記録がすべてデータ化されていますので、どのような基準で今の給与なのか、彼らは知ることができるのです。
また、リーダー陣はこの管理システムを使うことによって、マネジメントはどういうものなのかを学ぶこともできます。締め切りまでにどうやったら納品を間に合わせることができるか、とか。マネジメントを学ぶ環境がない、マネジメントがそもそもどういうものか分からないミャンマー人はたくさんいると思います。管理システムを見るとスタッフの動きがすべてわかるので、ここで作業を止めたら間に合わないから少し残業させよう、など判断しやすいのです。それを続けていくと本当のリーダーも育ってきます。生産効率を上げるための議論も、この管理システムを通じて行われるようになりました。ですので、この管理システム体制には自信を持っています。
他にもAIを導入した品質担保の仕組みや、ミャンマー人スタッフが働きやすい労働環境づくりにも励んでいます。

ミャンマー


ミャンマー


↑管理システムの一部

徹底して管理システムにこだわっているのですね。

そうですね。そのくらいの覚悟を持たないとミャンマーではやっていけないと思っています。文化が違う中で日本と同じような仕事のやり方を押し付けてはいけないと思っています。最初ミャンマーで事業を始めた時はいくつか失敗もしましたが、それはミャンマー人のことをしっかり理解していなかったからだと思います。管理システムを徹底することでお互い公平性も生まれ、こちらの説明にも説得力が出てきます。ポイントの高い優秀なスタッフをみんなの前で表彰すると、少し得意げになって今以上にがんばってくれたり、かわいい一面もありますよ。厳しく管理する反面、スタッフのモチベーションにも配慮しています。今は社員旅行を企画中です。

信頼を築くには


これからの事業方針を教えてください。

まずはスタッフを増やすことですね。お陰様で事業は軌道に乗ってきており現在は20~30名ほどですが、将来的には100名を超えたいと思っています。
スタッフを増やした後は、クラウドサーバのようなワークフォース(労働力)ビジネスを展開したいと考えています。例えば「明日30人のPhotoshop作業者を確保したい」というとき、ワンクリックで必要なphotoshop作業者が明日準備されるような。
BPOの需要はなくならないと思っていまして、これからも成長できると考えています。

日系企業が進出するにあたって何が大切でしょうか。

ミャンマー人は師弟関係を大切にするので、まずは信頼関係を築くことです。
現地駐在員として来られる方の任期はだいたい2、3年ですよね。そして任期が終了するごとに事業を続けるかどうかを決める。
でも2、3年ってあまり長い期間だとは思えないですね。やるなら長い目で腰を据えて取り組む必要があると思うのです。
また、スタッフが納得するような仕組みも必要です。あるとき原資がなくて昇給が一切できない頃がありました。その時には会社の財務諸表をすべてスタッフに開示し、財務諸表の読み方を教えてまで納得してもらいました。そうすることによりスタッフ間みんなで現状の課題について議論し合うようにもなりますし、こちらから教えていくことで彼らは私たちを先生だと慕ってくれます。
そしてそういった説明はすべて社長の私がしています。英語でコミュニケーションをとっているので完璧には伝わりませんが、こちらの姿勢が本気だということを示せば彼らも私が何を言いたいのかはわかってくれるのです。言葉の壁はありますがそれ以上に人間同士の付き合いであることを忘れないことが大切だと思います。

株式会社チャムズ・ソリューションズ
https://chums.co.jp/
作業効率化提案やミャンマー進出あるあるなどコンテンツ豊富です!
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