2018-09-04 20:00
社会
【ミャンマー】ロイター記者に禁錮7年の判決 国家機密法違反で

世界中の報道陣にとって悲しい日
ミャンマー裁判所は9月3日、2017年12月に「国家機密法」違反の罪で拘束されたロイター通信のミャンマー人記者2人に、禁錮7年の判決を言い渡した。機密文書を保持していたとして拘束されたのは、ワ・ロン(Wa Lone)記者(31)とチョー・ソウ・ウー(Kyaw Soe Oo)記者(28)の2人だ。
Ye Lwin判事は、
「国家の利益を損なうことを意図していた」(BBCより)
と述べた上で、「だから彼らは国家機密法に反している」(BBCより)
とつけ加えたという。ロイター通信のステファン・J・アドラー(Stephen J Adler)編集長は声明で、
「ミャンマーのロイター記者ワ・ロンとチョー・ソウ・ウー、そして世界中の報道陣にとって悲しい日だ」(REUTERSより)
と述べている。「我々は間違ったことをしていないことを知っている」
ロイター記者が拘束された問題は国際社会からの注目も高く、「即時釈放」を求める声が上がっていた。国連高官は今回の判決を受け、
「国連はロイター記者の釈放を一貫して求めており、表現と情報の自由を追求する権利を尊重するよう当局に求めている」(CNNより)
と述べた上で、記者2人が家族のもとに戻り、記者としての仕事を続けるべきとの見解を示した。ワ・ロン記者は判決の後、
「我々は何をしたのか知っている。我々は間違ったことをしていないことを知っている。私は怖くない。私は正義、民主主義、そして自由を信じている」(REUTERSより)
と述べている。チョー・ソウ・ウー記者には3歳の娘がおり、ワ・ロン記者の妻は先月子どもを産んだばかりだ。両者はともに幼い子どもを抱える父親であり夫でもある。残された家族は、今回の判決に落胆したことだろう。
これまでの経緯
ワ・ロン記者とチョー・ソウ・ウー記者の2人は昨年12月、ラカイン州北部の村で、イスラム系少数民族ロヒンギャの男性10人が治安部隊により処刑された事件に関する証拠を収集していた。その時、これまで会ったことがない警察官に招かれ、待ち合わせのレストランで警察官から文書を渡されたという。しかし、その直後に国家機密法に反する文書を保持しているとして拘束されている。
記者2人が拘束された後、軍は兵士がロヒンギャ男性の殺害に関与したことを認めた。しかし、記者が釈放されることはなかった。
また、5月に行われた予備審査に検察側の証人として出廷した警察官が、拘束のきっかけとなった機密文書は警察官が記者に渡したことを明らかにし、「逮捕は罠だった」と証言している。
しかし、この警察官は懲役刑に処された上、家族は警察の住宅から追い出されたという。
「罠」だったことが明らかになった後も予備審査は続き、最終的にはイギリス植民地時代に制定された古い法律により起訴されることになった。
なお、彼らの判決は8月27日に予定されていたが、判事は体調不良を理由に判決の日を伸ばしている。
(画像はBBCより)
外部リンク
Myanmar: Reuters journalists investigating Rohingya killings sentenced to 7 years in prison
https://edition.cnn.com/
Reuters Myanmar reporters jailed for seven years in landmark secrets case
https://www.reuters.com/
Reuters journalists jailed in Myanmar over secrets act
https://www.bbc.co.uk/
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