2018-08-11 10:00
学術
【ミャンマー】捕獲された野生ゾウは飼育下で誕生したゾウより短命

50年の記録をもとに調査分析
フィンランドのトゥルク大学(University of Turku)の国際研究チームは、ミャンマーの木材伐採産業で働くために捕獲された野生のアジアゾウが、飼育下で誕生したゾウより寿命が3~7年短いという研究結果を発表した。人間はさまざまな目的のために3000年以上にわたり野生のアジアゾウを捕獲しており、個体数が減少した現在も、捕獲が続いている。
Mirkka Lahdenpera博士が率いるトゥルク大学の研究チームは、ミャンマー政府が有する1951年から2000年の個体群統計学的記録をもとに、同国の木材伐採場で働く5,150頭のアジアゾウを調査分析したという。
これらのゾウはもともと野生のゾウであり、捕獲された後に働くことを強いられている。
個体数を増やすための代替方法が必要
一般的に、野生のゾウは動物園などで飼育されているゾウと比較すると死亡リスクが高いが、これらの比較は主に野生と動物園という環境での食事や運動、病気などの違いを示している。研究チームの調査結果では、飼育下で誕生したゾウの寿命は30~45年であったが、野生ゾウの寿命は数年短くなるという。
この結果から調査チームは、野生ゾウの捕獲方法にかかわらず、捕獲後の生活が負の影響を与えているという結論を導き出した。
同研究チームは、捕獲と飼育による長期的ストレスや社会環境の変化は、捕獲された野生ゾウの寿命を短くする可能性があるとして、個体数を増やすための代替方法を見つけるべきだとしている。
なお、動物園で飼育されているゾウの60%以上が野生で捕獲され、残りのアジアゾウの3分の1が捕獲されている。
(画像はプレスリリースより)
外部リンク
トゥルク大学
http://www.utu.fi/en/
トゥルク大学のプレスリリース
http://www.utu.fi/en/news/
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