2017-01-24 21:00
社会
国連特使、ミャンマー政府による「民族迫害」を批判

政府は“自己弁護”“排除”“否定”という対応のみ
ミャンマーを訪問していた国連(UN)特別報告者ヤンヒ・リー(Yanghee Lee)氏は1月20日、12日間にわたる「民族迫害」に関しての調査を終え、声明を発表した。リー氏は、ミャンマー北部カチン州で起きているカチン独立軍との戦いや、西部ラカイン州でイスラム系少数民族ロヒンギャに対する民族迫害などの問題で、同国政府の攻撃的な対応を批判。
これら全ての問題に対して、政府は“自己弁護”“排除”“否定”という対応をしているように見えるとした上で、
「このような対応は逆効果となるだけでなく、国全体に広がっていた希望が失われつつある」(The Seattle Timesより)
と述べる一方、状況を好転させることができるとつけ加えた。体系的かつ制度化された差別が横行
ラカイン州では昨年10月に9名の警察官が殺害されたのを機に、バングラデシュとの国境付近で治安部隊とロヒンギャ武装勢力が戦闘を続け、少なくとも86名が死亡、6万5,000名以上のロヒンギャがバングラデシュへ逃げたと国連は報告している。避難したロヒンギャは、治安部隊による殺害、レイプ、放火などが行われていると主張。しかしミャンマー政府はこの訴えを否定し、合法的な反撃活動であり、ロヒンギャが自ら自分たちの家を焼き払ったと主張している。
一方、リー氏はロヒンギャが自ら家を燃やしたという主張に対し、「当局は証拠を提示しておらず、信じがたい」と一蹴。また、動画サイト「YouTube」に警察官によるロヒンギャ虐待のビデオが投稿された件も、氷山の一角に過ぎないとの見解を示している。
さらに、
「治安部隊によるロヒンギャへの攻撃は正当化されておらず、数十年にわたる体系的かつ制度化された差別の中で行われている」(REUTERSより)
と問題提起した。尚、リー氏は滞在中にアウンサンスーチー国家特別顧問をはじめとする内閣閣僚と会見したが、国軍最高司令官であるミン・アウン・フライン(Min Aung Hlaing)氏は会見を拒否している。
(画像はAAより)
外部リンク
UN rights envoy slams Myanmar on military’s actions
http://www.seattletimes.com/
U.N. rights expert criticizes Myanmar over Rohingya crackdown
http://www.reuters.com/
UN's Lee points to discrimination in Myanmar insurgency
http://aa.com.tr/en/
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