2016-11-29 07:00
社会
国連当局者がミャンマーの「民族浄化」を懸念

強姦、拷問、殺人、略奪、村の焼き払い
ミャンマーと国境を接するバングラデシュのコックス・バザールの町にある国連難民局(UNHCR)のジョン・マッキシック所長は、ミャンマーが少数民族ロヒンギャに対する「民族浄化」を行っているとして懸念を表明した。ミャンマーのラカイン州で先月発生した国境警備隊襲撃事件以来、武装反乱グループと治安部隊との間で戦闘が続いているが、同所長によると、バングラデシュへ逃げ込んだロヒンギャからは、兵士によるロヒンギャへの強姦、拷問、殺人、略奪、村の焼き払いなどが行われているという。
そのため、3万人にも及ぶロヒンギャは自宅を放棄して避難せざるおえない状況で、その多くが国境を超えてバングラデシュへ逃げ込もうとしている。
一方、人道危機を回避するために国境を開くという国際的な訴えに抵抗し、バングラデシュ側は“避難民の受け入れは民族浄化を助長することになる”として受け入れを拒否している。
両国を隔てるナーフ川をわたりバングラデシュを目指す者もいるが、バングラデシュ側から入国を拒否されたり、国境警備隊に撃たれたりした者もいたという。
スーチー氏はどこに?
ミャンマー政府のスポークスマンは、ジョン・マッキシック所長の懸念に対し、「国連スタッフが遵守・尊重しなければならないプロフェッショナリズムと倫理に疑問を抱く。具体的かつ真実に基づいた事柄を発言すべきで、批判すべきではない」(9NEWSより)
と、ミャンマー政府としての見解を述べている。ミャンマーの事実上のリーダーとされるアウンサンスーチー国家特別顧問は、事件勃発後6週間にわたりジャーナリストや記者会見を避けているが、この問題に対してスーチー氏は微妙な立場にあるという。
なぜなら、国内の治安はミャンマー国軍の支配下にあるからだ。スーチー氏がこの案件に乗り出せば、軍との関係を悪化させる恐れがあり、新政権への影響も心配される。
一方、アナン元国連事務総長をはじめ、国際的な人道支援団体等もロヒンギャに対する政府の動きに懸念を示しており、問題は国際社会へも広がりつつあるのが現状だ。
民主化を目指すミャンマーでの「民族浄化」への疑念。今後の経済成長への影響が懸念される。
外部リンク
Myanmar pursuing 'ethnic cleansing' of Rohingya Muslims
http://www.9news.com.au/
Myanmar wants ethnic cleansing of Rohingya - UN official
http://www.bbc.com/
Rohingya face Myanmar 'ethnic cleansing': UN official
http://www.aljazeera.com/
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