2017-12-25 17:00
政治
米国、ロヒンギャ迫害を指揮したミャンマー軍幹部らに制裁措置

人権侵害と腐敗の疑い
米国務省報道官によると、米国は人権侵害と腐敗の疑いでミャンマーの52の個人または団体に対して、制裁措置を発動したという。制裁の対象には、ミャンマー・ラカイン州北部でイスラム系少数民族「ロヒンギャ」に対する軍事的な弾圧で指揮をとった陸軍西部司令部長官であるマウン・マウン・ソエ(Maung Maung Soe)少将も含まれている。
米国がロヒンギャへの残虐行為で制裁措置をとるのは今回が初めてだ。
米国は2016年に制定された「グローバル・マグニッキー人権責任法(The Global Magnitsky Human Rights Accountability Act)」に基づいて、対象となった個人あるいは団体に制裁措置をとるという。
この法律は、米国内の個人や団体が保有する資産を凍結し、米国の金融機関の使用を禁止し、米国人との取り引きを禁じるというものである。
米国のスティーヴン・マヌーチン(Steven Mnuchin)財務長官は、
「財務省は資産を凍結しており、悪質な行為を公然と糾弾し、不正行為には高価な代償を払うことになるというメッセージを送っている」(Radio Free Asiaより)
と声明で述べている。ミャンマー政府は一貫して人権侵害を否定
マウン・マウン・ソエ少将が指揮した軍事的弾圧では、65万人以上のロヒンギャが暴力から逃れるために隣国バングラデシュへ流入した。米国、国連、権利団体は、ミャンマー軍がロヒンギャに対して行った暴力、レイプ、殺害、放火などを残虐行為とみなし、「民族浄化」と結論づけている。
一方、ミャンマー政府と軍は人権侵害の疑惑を一貫して否定し、ロヒンギャ武装勢力による警察の前哨基地攻撃に対する措置として、ラカイン州北部での軍事作戦を正当化した。
しかし、人権団体等は、ロヒンギャ虐殺や村の焼き払いなど、証拠となる衛星画像や証言を得ている。
ミャンマー軍最高司令官のミン・アウン・フライン(Ming Aung Hlaing)氏は、
「この恐ろしい暴力を犯した軍事勢力や軍事資金を調達している企業に追加の制裁措置を課すべきだ」(Radio Free Asiaより)
と述べているという。米国のミャンマーに対する制裁は、両国の関係を損なう可能性があるばかりか、ミャンマーの民主化にも悪影響を与えることになるだろう。
(画像はABCより)
外部リンク
Rohingya crisis: US sanctions Myanmar general, dozens of others over rights abuses
http://www.abc.net.au/
U.S. Imposes Sanctions on 52 People and Entities for Abuse and Corruption
https://www.nytimes.com/
US Slaps Sanctions on Myanmar General Who Oversaw Crackdown on Rohingya
https://www.rfa.org/
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