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2019-04-20 20:45

社会

国際人権団体、ミャンマーに対し「風刺は犯罪ではない」と主張

ヒューマン・ライツ・ウォッチ
風刺的な演技で国軍を批判した4人を起訴
米国を本拠地とする国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)は4月17日、風刺的な演技で国軍を批判した4人のタンジャット(Thangyat)パフォーマンスの出演者に対する起訴の取り下げを要請した。

タンジャットは、伝統的な太鼓の演奏と一緒に、歌や踊りが披露されるミャンマーのパフォーマンス・アートだ。特に新年となる4月の行事で行われ、政治から社会的行動に至るまでのユーモラスな批判の手段となっている。

ヤンゴン警察は4月15日、タンジャットグループであるPeacock Generation Thangyatのメンバー4人がFacebookで演技をライブ配信した後、彼らを逮捕したという。

同4人は電気通信法違反の罪に問われているが、同法は政府や国軍を批判した者の拘束に繰り返し使われている。

逮捕されたSu Yadanar Myint氏によると、同グループは公演中に軍服を着用したという。

アジア法律アドバイザーであるリンダ・ラクジール(Linda Lakhdhir)氏は、
「批判した者を逮捕するのではなく、政府は彼らの主張に耳を傾けるべきだ」(プレスリリースより)
と述べている。

ミャンマー政府は表現の自由を無視
ミャンマー当局は公演予定があるすべての劇団に対し、事前に承認を得るために歌詞を提出するよう伝え、また、従わない人々に主催しないよう地元に圧力をかけたという報告があったという。

一部の劇団は検閲を拒否し、代わりに路上で演技を披露している。

ラクジール氏は、
「風刺を検閲し、検閲を拒否する人々を逮捕することで、ミャンマー政府は表現の自由を無視していることを見せつけている」(プレスリリースより)
と述べた上で、
「詩人であろうと作家であろうと、風刺家に対する訴えは取り下げられ、政府は平和的批判を犯罪とするすべての法律を速やかに修正または廃止すべきである」(プレスリリースより)
とつけ加えた。

繰り返される政府・国軍批判の逮捕
別の事件で当局は、軍を批判した一連のFacebook投稿に対する刑事訴訟で、映画製作者および人権活動家のMin Htin Ko Ko Gyi氏を拘束している。4月12日の審問で、裁判所は同氏が肝臓ガンを患っているにもかかわらず保釈しなかったという。

また、現政権下でも風刺的な批判に対して刑事訴訟が起こっている。2018年4月に8人の学生が風刺的な反戦演劇を行ったために名誉毀損に問われ、その演劇を生放送した男も電気通信法違反で3ヶ月の刑を宣告された。

さらに、ボイス・デイリー(Voice Daily)の編集者は、軍用映画の風刺的レビューをオンラインで投稿した後、名誉毀損で2ヶ月間拘束されている。

加えて、タニンダーリ・ジャーナル(Thanintharyi Journal)の編集者も、州首相の評判を傷つけたとされる風刺的な記事を理由に、2月に50万チャット(330米ドル)の罰金を科された。

(画像はプレスリリースより)
(C) 2019 AP Photo/Aung Shine Oo


外部リンク

ヒューマン・ライツ・ウォッチ
https://www.hrw.org/

ヒューマン・ライツ・ウォッチのプレスリリース
https://www.hrw.org/news/

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